ハリエット結婚詐欺事件

2014.12.15.Mon.12:22
ルイス・ストーントン(24歳)はハリエット(36歳)の4000ポンドの財産が目当てで彼女に近づいた。
ハリエットは、知能障害のあるぶくぶくと太った女だったが、大金を相続する目的のためには、ルイスは彼女と結婚する必要があったのだ。恋人もいたので、ハリエットに形だけの肉体関係など望むはずもなかった。

1875年、母の反対をおしきって、ハリエットは表向きは彼女を愛してくれるルイスと結婚した。

彼女は夫の「兄夫婦といっしょに住めば、家事をしなくて済むよ。」という甘言に騙されて、兄夫婦と同居することになった。ルイスの恋人もメイドとして一緒に住む事になる。

―豚人間―
ハリエットは屋根裏部屋を「なにもしなくて良い場所」として与えられた。しかしその部屋は、窓も戸もすべて外側から鍵がかけられた軟禁部屋だった。

食事は、豚の餌のように丼に突っ込まれた残飯だった。彼女はそのエサを手づかみで食べなければならなかった。スプーンさえ与えらなかったのだ。しかもルイスたちはしばしば彼女の存在を忘れ、エサやりをしない日もしょっちゅうだった。

家畜のように飼われている彼女に話しかける人は誰もいなかった。誰にも見られずに過ごすハリエットは、いつしか話す能力を失っていった。まるで豚のようにぶうぶう言うか鼻を鳴らすだけで、一度も洗われない服は異様な匂いを発し、まったく洗っていない体はおぞましいほど汚れていた。

もう彼女からは人間としての意識は失せ、昼も夜も暗闇で這いずりまわり、うなるだけのグロテスクな動物であった。彼女に望まれたものがあるとすれば、それは「死」だけだった。

ルイス兄弟は、自分たちの家でハリエットが死ぬのは都合が悪いと考え、彼女を下宿屋へ移した。食料は与えず彼女が餓死するのを待った。

1877年4月、栄養失調のためハリエットは神のもとへ旅立った。

ルイスは、ハリエットが死ぬと計画通りに、その日のうちに葬儀の手配を済ませ、遺体の埋葬料を先払いした。葬儀に自分たちが出席することなく、愛人を連れてさっさと自宅へ帰った。

死者に対する敬意の無さやハリエットの遺体が異常に不潔だったこと、さらにあれだけ太っていた彼女の体重が異常に軽かった(30キロ以下)ことなど死因に対する疑惑が持ち上がった。

看護婦と土地の人間がハリエットの母親に連絡し、葬儀は中止された。そして解剖の結果、ハリエットの死因は長期の栄養失調と保護責任の放棄によって死んだことが明らかになった。

ストーントン兄弟と、兄の妻、弟の愛人の4人には裁判で死刑が宣告された。のちに減刑となり、愛人は無罪に、他3人は終身重労働刑となった。
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