埼玉愛犬家連続殺人事件

2014.12.16.Tue.18:26
S(当時53歳)と元妻のKは埼玉県越谷市でペットショップAを経営、アラスカン・マラミュートのブリーダーとして名が知られていた。

しかし、バブル崩壊後の売り上げの減少に加え、豪華な新犬舎兼自宅の建設などにより、借金がかさみ、店の経営に行き詰まった。 そこで二人が思いついたのが、不正価格での犬の販売だった。

― 残忍な殺人手口 ―
平成6年4月、産廃処理会社経営者(当時39歳)に対して実際は数十万円のアフリカ産の犬を1000万円で売りつけた。 後日、購入した犬が時価数十万円程度であることを知った産廃処理会社経営者はSに代金の返済を求めた。

そこで、Sは産廃処理会社経営者を呼び出して栄養剤だと偽って犬薬殺用の「硝酸ストリキニーネ」入りのカプセルを飲ませて殺害した。 硝酸ストリキニーネは、知人の獣医から「犬を安楽死させるため」と偽り入手していた。

Sは次に、この殺害を知った暴力団幹部とその運転手(21歳)を口封じのため7月に殺害。 8月末には、主婦(当時54歳)も犬の販売トラブルのため殺害した。

いずれも「硝酸ストリキニーネ」を飲ませて殺害し、群馬県片品村にある犬飼育場に遺体を運び、Kと2人で浴槽にて包丁でバラバラにした。 また、同社の元役員N(当時38歳)に依頼して細切れにした肉片は川に棄て、骨はドラム缶で焼き、残った骨灰は近くの山林に棄てた。

― 逮捕へ ―
平成7年1月5日、埼玉県警はSとKの2人を死体遺棄の疑いで逮捕した。 殺害した4人の遺体は骨が粉々になるまで損壊させたため身元の確認ができなかった。 このため、自供による証拠固めを中心に捜査を続けていた。 逮捕後、Sは4人の殺害を認めたがKの主導であったと主張。一方、KはSの主導で犯行に至ったと主張した。

平成13年3月21日、浦和地裁は「いずれも身勝手な理由で、次々と虫けらを殺すように毒殺などを実行した。世上まれに見る重大凶悪事犯」として、S・K2人に死刑を言い渡した。 両被告は控訴する。

尚、元役員Nは犯行を認め服役。平成10年8月に出所後、本事件を執筆し「愛犬家連続殺人」というタイトルで本を出したことで注目を集めている。 平成17年7月11日東京高裁は、S、Kの控訴を棄却。2人はただちに上告した。

平成21年6月5日、最高裁は「猛毒を飲ませて中毒死させ、死体を切断して山や川に捨てた犯行は冷酷で悪質極まりない。不合理な弁解を繰り返し、真摯な反省の態度も見られない」として、SとKの上告を棄却した。 これにより2人の死刑が確定した。

この事件はSが「ボディを透明にする」と呼んだ残虐な遺体の処理方法のため遺体はまったく残っていなかった。そのため「遺体なき殺人」と呼ばれた。
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